知ってほしい!経営状況
今後、施設の老朽化に対して更新需要の増大が見込まれますが、物価高騰の影響もあり、財源の確保が課題となっています。
一方、人口減少などにより給水収益は減少傾向にあります。
水道事業を取り巻く経営環境は厳しく、神戸市上下水道事業審議会において、今後の水道事業経営についての検討を行いました。
施設の更新費用の増大
神戸市は起伏にとんだ地形で坂の多い街であるため、多くのポンプ場や配水池、総延長約4,880kmにも及ぶ配水管など膨大な水道施設が必要であることが特徴です。
これらの水道施設は特に高度経済成長期に神戸の街の発展にあわせて整備されたものが多く、それらの多くが更新時期を迎えてきており、今後も更新費用が増大していく見込みです。
また、近年の労務単価の上昇や資材価格の高騰等により、工事費が上昇傾向にあり、施設更新のための財源の確保は喫緊の課題となっています。
給水収益の減少
人口減少に加えて、節水機器の普及やライフスタイルの変化による節水型社会が進展し神戸の有収水量(水道料金の対象となる使用水量)は平成4年度(1992年度)をピークに減少しています。
有収水量の減少による影響から、給水収益(水道料金収入)も減少傾向にあります。
水道事業は水道料金で運営されているため、給水収益の大幅な減少は経営に大きな影響を与えます。
経営改善
このような状況の中で水道局では、業務の集約化や官民連携、DXの推進などにより仕事の効率化をすすめ、人員とコストの削減を行い、持続可能な経営のための取り組みを行っています。
特に令和2年度(2020年度)は新型コロナウイルス感染症の影響により、ホテルや飲食店、商業施設などでの水道の使用が大きく減少し、給水収益も大きく減少しました。
そこで神戸市水道局では、今後も水道事業を安定的に継続していくため、令和2〜4年度(2020〜2022年度)にかけて「緊急経営改革」による経営基盤の強化を図りました。
令和5年度以降は、経常的な効果として年間約10億円の効果を見込んでおり、今後も、遊休資産の活用等、できる限りの経営改善に取り組んでいきます。
今後の収支の見通し
一方、物価高騰による委託料や修繕費、動力費等の維持管理費等の上昇もあり、水道事業の経宮はこれまで以上に厳しい状況になることが見込まれています。
2025年度には単年度の収支が赤字に、企業債発行等の資金手当を行わない場合は、同年度に事業運営に必要な資金の確保が困難になる見込みです。
上下水道事業審議会
今後の経営方針や長期の収支計画については上下水道審議会で議論しており、 精度の高い投資計画や資金計画を策定して経営分析を進め、将来にわたってライフラインである水道を維持していけるよう取り組んでいきます。
※上下水道審議会:神戸市水道事業および神戸市下水道事業に関する重要事項について、学識経験者や市民代表が調査・審議を行います。